こんにちは
今回はマンガでわかるシリーズ2冊目のレビューを行います。
②「マンガでわかる 電気数学」, 田中賢一(著), 松下マイ(作画), オフィスsawa(制作),
Ohmsha, 2200円(税別)
通読目安 :120分(漫画部:60分、活字部:60分)
全257ページ内訳:漫画部約122ページ、活字部約135ページ
難易度 :★★★☆☆
分かり易さ:★★★☆☆
電験対応度:★★★★☆
ストーリー:★★☆☆☆
作画 :★★☆☆☆
本書の活字部は漫画部に対する補足や新たな項目説明でなく、ミニキャラの対話形式のやり取りで、物語に組み込まれた形で登場するため、読み飛ばすことが出来ず、通読するのに他の本より時間がかかるかもしれません。
【ストーリー】
学校の授業についていけなくなった落ちこぼれの電気系の大学生「青沼」が電気料金滞納のため、冬にもかかわらずアパートの電気を止められてしまう。毛布をかぶり寒さに耐えているところへ、電力会社の女性社員「橘」が現れ、電気料金支払いを促すとともに、電気の大切さ、面白さを伝えていく。二人の関係は勉強が進むとともに、ますます近くなって・・・
・・・といった具合で、典型的な、若干の恋愛要素を含めた落ちこぼれ学生+指導者の物語です。ストーリーの山や谷はほとんどなく、淡々と進んでいきます。ストーリーの一環として対話形式の活字部がでてきますので、活字部もしっかりと読まないと物語を追っていけないことに注意してください。登場人物は2人のみであっさりしています。
【作画】
ザ・マンガでわかるシリーズといえるほどの、同シリーズの典型的な絵柄です。作画も不安定ですが、読みにくいと言ったほどではありません。このシリーズを色々読もうとしているなら、この絵柄に慣れておいた方が良いかもしれません。
(左が青沼、右が橘)
【目次】
プロローグ イルミネーションなんて大嫌い!?
第1章 電気数学とは?
第2章 方程式・不等式で解ける電気回路(その1、直流回路)
第3章 三角関数とベクトル
第4章 複素数
第5章 方程式・不等式で解ける電気回路(その2、直流回路)
エピローグ
【内容】
三角関数、電気回路の基本(コイルとコンデンサ、オームの法則)、直流交流、交流の式、ベクトルと位相、複素数、複素ベクトル、キルヒホッフの法則(第1、第2)、行列と行列式、行列による2元・3元連立方程式の解き方、ホイートストンブリッジ、角速度角周波数、インピーダンス、力率、三相交流が学べます。
電気数学といっても、電験に必要なラプラス変換やテブナンの定理に関しては一言も触れられていないので注意してください。
8つの問題がストーリーに組み込まれており、簡単な演習もできます。このレベルの問題ですが。
高校数学・物理の教科書を一読したレベルの方には、全編を通して非常にわかりやすいと印象を持たれると思いますが、全くのゼロからの初心者は複素数や三相交流の計算の理解はちょっと厳しいと思われます。教科書よりも優しく書かれているので、何度も読んで頑張って理解してください。
具体的な項目を見ていくと、行列関係は非常に良く書けていると思います。逆に、微積分に関してはほんのおまけ程度と見てよいでしょう。この本の内容に沿った教科書を揃えようとすると、数学・物理など分野の異なるものを3,4冊揃えなければならなくなるので、最初の一冊としては良くまとまっておりちょうど良い本かと思います。
マジっすか・・・。
漫画と活字部の関係に関しては、本書では上記でも述べました通り活字部は物語に組み込まれた対話形式のやり取りとなっているため、次のようなことが頻繁に起きます。
OK!ベクトルとして表示してみよう!
漫画じゃないんかーい! ってな具合です。油断していると、
活字になるんかーい!
と、こんな具合にある意味楽しめます。
おすすめ度は★★★★☆とします。三相交流や力率の演習問題と分かりやすい解答が載っており、電験対策としても役に立ちます。ただし、あくまで電験へのステップアップの最初の1冊という認識で取り組んでください。他のタイトルと同様、分量の割に決して安くないので、買う借りる立読むは各自で判断してください。
次回は「マンガでわかる 電磁気学」のレビューです。
ではでは
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